ケーススタディ
クライアント
UltraSuperNew (internal initiative)
領域
AI Transformation
年
2025–2026 (ongoing)
課題
2025年後半、AIは会話の中には溢れていても、実際の業務フローにはほとんど入っていませんでした。各社はパイロットを回し、宣言文を発信するものの、運用モデルを持つ会社はありませんでした。AnthropicのCreative Agencyピッチで、その差がはっきりしました。「AIを使う」ことと「AIネイティブに運営する」ことは、まったく別の課題です。
判断
選んだのは、ツールを揃えることではなく、仕組みをつくることでした。職種別のプレイブック14本、全12回のカリキュラム、15職種を赤・黄・緑で分類したロールインパクトマップ、日英のResponsible AIガイドライン、SoW作成用の共有Claudeスキル、依頼受付の自動化フロー、四半期ごとの効果測定。ガバナンスはクライアント側で問題が起きる前に整え、学習設計はツールではなく、多忙なシニア層が実際にどう学ぶかを起点にしました。
成果
東京本社で本番運用中で、コロンボ、シンガポール、アムステルダムへ段階的に展開しています。経営陣はロールインパクトマップを採用と組織能力への投資判断に使っています。RFQへの回答は3〜5日から約5時間に短縮しました。
主要指標
ナレーションのローカライズ費用を86%削減(試算。5言語でAIツールと社内制作単価を比較)
取り組み
仮説:35人のクリエイティブエージェンシーでも、誰かが仕組みをつくれば、どのグローバル大手より速くAIに適応できる。
背景
この取り組みの起点は、AnthropicのCreative Agencyピッチです。USNのチームの一員として参加し、勝ち取った競合プレゼンでした。そのブリーフで、「AIを使う」ことと「AIネイティブに運営する」ことはまったく別の課題だと見えてきました。その差を埋めることが、そのまま仕事になりました。
2025年後半、AIは会話の中には溢れていても、業務フローにはほとんど入っていませんでした。各社はパイロットを回し、LinkedInで宣言を発信しながら、生産性について厳しく問われないことを内心願っている状態でした。
UltraSuperNewは東京を拠点とする独立系クリエイティブエージェンシーです。Anthropic、Mozilla、Amazon、Salesforce、Adobe、Porsche、Spotify、Daimlerなどと仕事をしており、東京、シンガポール、アムステルダム、コロンボにオフィスがあります。本当の変革に必要な条件は揃っていました。素早く動ける規模で、仕事を熟知したシニアがいて、グローバル本社の方針を待たずに意思決定できる独立性もありました。
欠けていたのは、組織を動かす仕組み(オペレーティングシステム)でした。それを私がつくりました。
つくったもの
USN AI OS:AIを「ツールの話」から「組織の能力」へ変える、全社横断の基盤です。私が単独で設計・構築し、東京本社で本番運用中。コロンボ、シンガポール、アムステルダムへ段階的に展開しています。
これはツールの寄せ集めではなく、一つの仕組みです。カリキュラム、ガバナンス、効果測定、自動化、チェンジマネジメントを組み合わせ、AIを使いこなせることを例外ではなく当たり前にするよう設計しています。
構成要素
職種別AIガイド14本:ジュニアデザイナーからクリエイティブディレクター、ビジネス開発まで、職種ごとに専用のプレイブックを用意。AIで何が変わり、何が変わらないのか、来週の月曜から何を変えるべきかを示しています。
全12回のClaudeプレイブック:アカウント職とプロデューサー職向けの自習型カリキュラム。エージェンシーの人が実際に学ぶやり方に合わせ、短く実践的で、USNの実案件を例にしています。
AIロールインパクト分析:社内15職種を対象にした組織能力マップ。各職種をAIによる代替リスク(赤)、業務変革の範囲(黄)、価値の向上(緑)で分類しています。経営陣が採用戦略と能力投資の判断に使っています。
SoW作成と依頼受付:SoWの作成は共有のClaudeスキルで運用。Tallyで届いたクライアントからの依頼は、期日付きの標準タスク6件を含むNotionプロジェクトとして自動で立ち上がります。
Responsible AIガイドライン(日英):クライアントの機密情報、知的財産の扱い、開示基準をカバーする日英両言語のガバナンス。クライアントに求められてからではなく、求められる前に整えました。
AIピッチプレイブックとクリエイティブ制作向けツール:RFP、競合プレゼン、制作フローでのAI活用を実務に落とし込み、裏付けとなる料金表も整備しました。
効果測定:業務時間配分の定量調査と構造化した1on1インタビューで、導入状況、能力のギャップ、展開の優先順位の基準値を設定。定めたKPIに沿って四半期ごとに追跡しています。
数字(主な事例)
ナレーションのローカライズ費用を86%削減(試算) 5言語でAIツールと社内制作単価を比較したベンチマーク(試算値で、まだ実現した数値ではありません)
15職種をAIロールインパクト分析でマッピング。赤・黄・緑の3段階で分類
14職種に職種別のAIプレイブック 全12回の体系的なカリキュラム 4拠点への段階的な展開ロードマップ
見た目より難しいこと
技術は簡単な部分です。難しいのは次のようなことです。
シニア層に「わからないこと」を認めてもらうこと
多忙な人の実情に合った学び方を設計すること
「AIによる生産性向上」を、自らの売上を削らない請求モデルに落とし込むこと
クライアント側で問題が起きる前にガバナンスを整えること
ローンチの発表が落ち着いたあとも勢いを保つこと
USN AI OSは、ツールではなく、これらの課題を中心に設計しています。
今後の展開
価値ベースの料金モデル(フェーズ2)
複数拠点への展開:コロンボ → シンガポール → アムステルダム
新規営業に向けた、社外へのAI能力の打ち出し
TalentLMSとCredlyのデジタルバッジによる認定制度
役割
Initiative Lead:戦略とリーダーシップを担当。チーム横断で導入を推進し、個別のAIガイドラインを設計、1on1インタビューを実施し、経営陣へROIを報告、全ディレクターと連携しています。


